2010年5月19日水曜日

白石康次郎と多田雄幸と植村直己

いい番組を見ました。NHKの『こころの遺伝子』、心に受け継がれる遺伝子(教え)をテーマにした番組です。

今回は、白石康次郎に受け継がれた遺伝子、多田雄幸の教えです。

多田さんは、スポンサーに応えるために、キールを極端に軽くしてしまいました。その結果、一晩に三回もローリング。シドニーに着いたときには、気力を失い、スポンサーの期待の重圧に押し潰されて、自ら命を絶ってしまいました。まだ若い白石康次郎は、その遺体を引き取りに行き、棺に収まる師匠を見つめ、その遺伝子を引き継ぐ覚悟を決めます。

この話のなかに、多田雄幸と遺伝子を共有していたもう一人の存在がありました。植村直己です。山と海と、場所は違え、大自然を相手にする二人は、親友でした。

植村直己が、犬橇の際に帆を揚げていましたが、これは多田さんから帆の使い方を教わったのだそうです。そのため、植村直己は何度もヨットに乗ってトレーニングしたそうです。白熊に襲われた直後の無線交信に応えたのも、多田雄幸でした。
ヨットマンと、登山犬橇冒険家の交流。私は、そのことを知りませんでした。

以前、WVの教室の書棚に白石康次郎の世界一周に挑戦するビデオがありました。世界一周の挑戦途中、部品が壊れて、スポンサーの期待の中を、泣きじゃくって港にUターンしてくる彼の姿は、ある意味、美しいと思いました。

登山家の野口健が、こう言っていました。スポンサーの期待を背負うと、判断に迷う。そして多くの登山家が無理をして、命を落としている、と。
最近注目される若手登山家、栗城史多くんも、よく泣きじゃくっていますね。私は、そんな素直なところが、とっても好きです。

泣きじゃくって、鼻水垂らしてもいいから、必ず、冒険から帰ってきて欲しいです。

『こころの遺伝子』は、再放送もあります。詳しくは、こちら


追記、私は、マッキンリーの麓の大きな湖で犬橇をしていたことがあるのですが、犬に引かれる風圧はもの凄いものでした。それに極寒の風は厳しい。橇のエッジがときどきブレーキになってしまうし、犬橇で帆を張るなんて、もの凄く難しいと思うな~。

0 件のコメント: